保険について調べると、すぐに「どの保険が良いか」という比較に入りがちです。でも、その前に知っておくべきことがあります。日本には強力な公的保険制度があり、民間保険が本当に必要な場面は限られています。まず全体像を把握しましょう。
日本の保険は「公的」と「民間」の二層構造
日本の保険制度は大きく2つに分けられます。
- –公的保険:法律によって全国民が加入する保険。健康保険・年金・雇用保険・労災保険など
- –民間保険:保険会社が提供する任意加入の保険。医療保険・生命保険・がん保険など
多くの場合、まず公的保険で基本的なリスクがカバーされ、公的保険で賄えない部分を民間保険で補うという考え方が合理的です。
公的保険でカバーされる主なリスク
病気・ケガで医療費がかかるとき(健康保険)
健康保険に加入していると、医療費の自己負担は原則3割になります。さらに「高額療養費制度」により、1ヶ月の医療費自己負担には上限があります。標準的な収入の会社員であれば、月の医療費上限はおおよそ8〜9万円です。
病気・ケガで働けなくなるとき(傷病手当金)
会社員・公務員が対象。連続して3日以上仕事を休んだ場合、4日目から最大18ヶ月間、標準報酬日額の約3分の2が支給されます。自営業・フリーランスは対象外です。詳しくは「傷病手当金の正しい使い方」を参照してください。
亡くなったとき(遺族年金)
国民年金・厚生年金の加入者が亡くなった場合、遺族に年金が支給されます。会社員の場合は「遺族厚生年金」も加算されるため、保障が手厚くなります。
障害が残ったとき(障害年金)
病気・ケガにより一定の障害状態になった場合、障害基礎年金・障害厚生年金が支給されます。
民間保険が意味を持つ場面
公的保険だけでは補えない部分を、民間保険でカバーする場面があります。
- –高額療養費の対象外となる費用(差額ベッド代・先進医療・食事代など)
- –傷病手当金が出ない自営業・フリーランスの収入補填
- –家族の生活費・教育費をカバーするための死亡保障
- –18ヶ月を超える長期の就業不能リスク
重要なのは「公的保障でどこまでカバーされるか」を把握した上で、本当に必要な部分だけを民間保険で埋めることです。
「とりあえず全部入る」がなぜ問題か
保険に関する誤解のひとつが「保険は多く入るほど安心」という考え方です。しかし以下のような問題が生じます。
- –公的保険とほぼ同じリスクをカバーする民間保険に二重加入してしまう
- –月々の保険料が家計を圧迫し、貯蓄が積み上がらない
- –必要な保障が何かを整理しないまま、営業トークで加入してしまう
保険は「ギャップを埋めるもの」です。公的保障の内容を理解した上で、不足する部分にだけお金を使う考え方が合理的です。
まとめ
まず公的保険の内容(傷病手当金・遺族年金・高額療養費)を把握する。その上で「自分の状況では何がカバーされていないか」を確認する。民間保険はそのギャップだけを埋めるものとして考えましょう。
関連記事
- –高額療養費制度を正しく理解する:申請方法と上限額の計算
- –傷病手当金の正しい使い方:支給額・期間・申請のタイミング
- –会社員が本当に必要な保険はどれか
- –フリーランスが考えるべき保険の整理
- –独身に保険は必要か?状況別に整理する
自分の状況(年齢・家族構成・働き方)を入力して、今の保険の優先度を整理できます。